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著作権者には本気で金儲けのことを考えてほしい

著作権の改良について考えたりすると、(特に小説だけど)著作権者の団体にはどうも話が通じそうにない感じがする。その通じ無さそうな感じについて考えていたら、要するに:

彼らはお金を儲けることに本当に本気ではないのだ

と考えるに至った。

本当に1円でも多くお金を儲ける事を考えていれば、著者の思い入れによる許諾ではなく、JASRACのような報酬請求権にした方が良い。また、許諾権や人格権などを恣意的に振り回すよりも、どのような条件でのみ権利が発動するか先に述べてしまう方が安心して計画がたてられるので利用が促進されやすい。

保護期間を短くする事だけは賛成してくれ無さそうだけど、登録制には賛成してくれるはずだ。現状だと著作権者をさがすだけで数万円くらいの事務コストがかかりかねないけど、登録してくれれば予想される利益が数万円とか小さなものの利用も促進されるだろう。

なぜ金もうけ以外の事ばかり気にするのかの理由は分からないが、本当に本気でお金を1円でも多く儲ける事を考えて欲しい。合理的な人間とは交渉がしやすいのだから。


ちょっと背景説明:

JASRACは著作権者の権利を制限するための団体だ。

というと、ちょっと驚くと思う。普段のニュースを見ていると、無理っぽい理屈で権利を拡大しようとする団体のように見えてしまうから。

しかしJASRACの本質は権利の制限にある。著作権は許諾権の形をしている。つまり著作者が個々の利用者に対して使ってよいかどうか決める権利がある。しかしJASRACに預けられた曲では、権利者は使って良いかどうかきめる事はできない。そしてJASRACは誰の使用に対してもOKというが、その代わりに「ゼニをくれ」という。使い方も使う人も取る金額も自由にきめる権利が著作権者にはもともとあったのに、JASRAC下では一定額の報酬を請求する権利だけになってしまうのだ。

そしてこのように権利が制限される事によってむしろ利用は促進され、権利者に入るお金は増える。そうでなければ、利用しようとした人はいちいち権利者の連絡先をさがし、交渉し、払い込みの方法をしらべとかしないといけない。そのコストは今よりずっと大きくなるので、よほど利益が出るのが確かでなければ交渉しようとすらしないだろう。
もっと極端に言えば、原理的には着信メロディをDLしようとする度に作曲者が許可をしたり、あるいは曲ごとにライセンスが違うとか起こりうるわけで、そんななら歌などこの世からなくなるだろう。

これがJASRACの存在意義である。


さらに蛇足で言うと、日本では本などの著作では著者がそのまま権利を持っている。対して欧米ではエージェントに預ける物らしい。そうする事によって二次著作も含めた利用が促進できるのだろう。(つーか、アマゾンが黒船よろしく権利の一括管理を求めて来たのはそういう理由だろう。)

このように本と、音楽で大きく運用が異なっているのは、音楽は世の中のあちこちで何万と言う演奏と言う形で利用が起こるのに対して、本の場合は印刷というのは一つの作品に対して(文庫化などを含めて)数回しか行われないので著者と直接交渉するコストが全体の中で小さかったからだろう。

しかし、今はインターネットなどで万単位でカジュアルなコピーが生じるので音楽と同様の方法に移行するのがどちらの為にもなると思う。絵でも写真でもネットにアップロードしました、100万ダウンロードされましたという時に、JASRAC同様に「毎度ありがとうございました、1枚1円、100万円になります」と来る方が、悪質な人だけを気まぐれにねらい撃ちするよりも効果があるし、いきなり犯罪者になるよりよいし、また著作者にもお金が入って良いのではないかな。

というわけでまず音楽以外(本とか絵とか写真とか)の著作権者達がまずするべきはJASRACのような金もうけに一生懸命なagentを作る事だと思う。

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