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生物内での量子もつれ

「シュレーディンガーの鳥」(V. ヴェドラル、日経サイエンス2011 10月, p34)

タイトルは不適切で、巨視的な重ね合わせ状態の問題ではないけど、知らない話だったので興味深く読んだ。生物の体内に量子もつれ状態が存在するという話。生物のように温かくて、水をはじめすべての分子が熱運動して衝突したりしている環境でそんなに長く量子コヒーレンスが保たれるのは本当だとしたら驚きだ。(タンパク質に包まれて保護されているのかな?)

ある種の渡り鳥が地磁気を感じるのは、目の中にスピンがゼロの(つまり、もつれた)電子の対があってこの片方が可視光を吸収するときに量子もつれのせいで磁場の影響を受けるのだ、という理論的計算にもとづく仮説をのべている。人間が作った量子もつれは50マイクロ秒が記録らしいが、これは100マイクロ秒も続くだろうとのこと。

また別の著者による囲み記事によると:


2007年にフレミングらは、緑色硫黄細菌において、光合成の最初のステップで働く色素タンパク質複合体の中の色素の励起エネルギーが、相反する状態を同時に実現する「量子的重ね合わせ」を保ったまま輸送されることを見出した。
(中略)
もともと光合成研究においては、なぜ生物がこれほどに高い効率で光を利用できるのかが、積年の難問となっていた。(略)太陽光の強度が弱い場合には、集光アンテナで捕獲された光エネルギーが色素分子の電子励起エネルギーに変換され、ほぼ100%の効率で反応中心というタンパク質に運ばれる。

という具合に、効率のよい量子的重ね合わせの話がある。おそらく次の論文のことだろう:

Evidence for wavelike energy transfer through quantum coherence in photosynthetic systems.
Engel GS, Calhoun TR, Read EL, Ahn TK, Mancal T, Cheng YC, Blankenship RE, Fleming GR. Nature. 2007 Apr 12;446(7137):782-6.

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